口臭というと、以前は男性のイメージを持つ人が多くいました。
しかし現在では、女性の口臭リスクに注目が集まっておりメディアでも特集されています。
今回はその原因と対策について解説します。
1. ホルモンバランスが口内環境を左右する
女性の体は、思春期・妊娠・更年期といったライフステージごとに、ホルモンバランスが大きく変化します。
特に「エストロゲン(女性ホルモン)」は、歯ぐきや粘膜の健康に密接に関わっており、
その増減によって口腔内の炎症リスクが上がることが知られています。
生理前や妊娠期など、ホルモン変動が大きい時期には歯ぐきが腫れやすく、
「歯肉炎」や「歯周病」を引き起こしやすくなります。
これらの炎症が、口臭の大きな原因の一つとなるのです。
2. 唾液の減少がニオイを悪化させる
女性ホルモンの変動は、唾液の分泌量にも影響します。
唾液には、口の中を洗い流して細菌の繁殖を抑える“天然のマウスウォッシュ”のような働きがあります。
しかし、更年期などでエストロゲンが減少すると、唾液量も低下しやすくなり、
口が乾く「ドライマウス」状態に。これにより細菌が繁殖し、
口臭が強くなる悪循環が起こります。
また、唾液にはpHを調整する“緩衝能”もあります。
この力が弱まると、口腔内が酸性に傾きやすくなり、
歯周病菌や嫌気性菌が活動しやすい環境になってしまいます。
3.「歯周病」は女性の健康全体にも関係
歯周病は単なる口の病気ではなく、全身の健康にも影響します。
近年では、女性ホルモンの変動が歯周病菌の増殖を促すこと、
さらにその炎症が血流に乗って全身に悪影響を及ぼすことが明らかになっています。
特に妊娠期に歯周病が悪化すると、早産や低体重児出産のリスクが高まるといわれており、
歯科と婦人科の連携ケアが推奨されるほどです。
4. 毎日のケアでできる予防とは
女性特有のホルモン変動を完全に止めることはできません。
しかし、毎日のケアで「菌を増やさない環境」をつくることは可能です。
・朝起きた直後のうがい(夜間の菌を洗い流す)
・舌ブラシや口腔洗浄液の活用
・乳酸菌やプレバイオティクスで“口腔フローラ”を整える
・定期的な歯科検診
こうした小さな習慣が、ニオイの根本原因である「菌のバランス」を整え、
口臭の改善だけでなく、全身の健康にもつながります。